第71話 貝がらの手紙

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

海岸の村では、波が貝がらを運んできます。その貝の内側に、時々、小さな文字のような模様があります。村の古老は言います。「海からの手紙だよ」。その模様を読むのが、少女カイラの仕事でした。

ある朝、大きな貝が打ち上がりました。模様は、遭難した船の船乗りが、家族に宛てた言葉のように読めました。「無事だ。島にいる。迎えを待つ」。カイラは村の大人に知らせ、船が出ました。本当に、小さな島で船乗りが救助されました。

「どうして海は手紙を運ぶの」 古老は言いました。「海はね、届けたい言葉を預かって、貝に託すんだ。言葉は、届くべき人のところへ、形を変えてでも行くものさ」

カイラは今日も浜を歩きます。海からの手紙が、誰かを待っているからです。