第22話 雪のオルゴール

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

ミオの家の引き出しには、小さなオルゴールがしまってあります。雪の結晶の形をした、銀色のオルゴール。亡くなったおばあちゃんからの贈り物です。

このオルゴール、少し不思議でした。ねじを巻いても、普段は鳴りません。鳴るのは、雪の降る日だけ。

初雪の朝、窓の外が白くなると、引き出しの中から、かすかに音がしました。チリンチリンと、優しい調べ。おばあちゃんが好きだった子守歌です。

ミオがおばあちゃんに尋ねたことがあります。 「どうして雪の日だけ鳴るの」 おばあちゃんは笑って言いました。 「雪の日はね、世界が静かになるでしょう。静かな日には、天国からの音も聞こえるのさ。このオルゴールは、あんたが寂しいときに、私がそばにいるって伝えるためのものだよ」

おばあちゃんがいなくなって初めての冬。雪の朝、オルゴールはやっぱり鳴りました。ミオは目を閉じて聞きました。子守歌の向こうに、おばあちゃんの声が重なって聞こえる気がしました。

「……そばに、いるんだね」

雪は静かに降り続け、オルゴールの音は、部屋いっぱいに優しく広がりました。