夜の動物園は、月に一度、満月の晩だけ開きます。園長のアカツキさんの招待で、少人数の客だけが入れるのです。夜の動物たちは、昼とは違う顔を見せてくれます。
年老いたゾウのハナは、満月の晩にサバンナの夢を見ます。アカツキさんは、その夢を聞く係です。ハナは目を閉じて、低く優しく鳴きました。通訳のフクロウがそっと訳します。 「若い頃の草原の匂い。仲間たちと歩いた、赤い夕日の道」 招待された子どもたちは、静かに聞き入りました。
閉園の時間、アカツキさんは言いました。 「動物たちはね、言葉を持たない代わりに、夢で故郷を持っているんです。私たちは、それをそっと見守るだけ」
帰り道、子どもたちは思いました。自分たちの夢の中にも、大切な故郷があるのかもしれない、と。