書くことが大好きな少年、モジタの夢は、物語の木を育てること。ある日、文房具屋のおばあさんが不思議な種をくれました。「使い終わった鉛筆を植えると、物語の木が育つよ」。
モジタは庭に、書き潰した鉛筆を一本ずつ植えました。春、水をやった土から芽が出て、夏には若木になり、秋、葉っぱが色づきました。よく見ると、葉には文字のような模様がありました。風が吹くと、葉ずれの音が、物語の朗読のように聞こえました。
モジタは木の下でノートを開きました。葉の音に耳を澄ますと、不思議と物語がスラスラ書けるのです。 「木は、ぼくの書いた言葉を覚えて、葉っぱで返してくれているんだ」
何年も経って、モジタは作家になりました。今でも新作に詰まると、故郷の庭の、鉛筆の木の下に帰ります。