漁師のギンタは、港の堤防で釣りをしていたとき、小さな赤い鯉を釣りました。鯉は網の中で、まるで何かを訴えるようにこちらを見ていました。ギンタはそっと海へ返しました。 「お前は自由でいろ」
それから数年。ギンタの娘の結婚式の前日、大切な指輪が海に落ちてしまいました。娘は泣き、家族みんなで水際を探しましたが、見つかりません。
夕方、波打ち際で何かが光りました。見ると、あの赤い鯉が、指輪を波に運んできて、砂浜に置いたのです。鯉は一度だけ跳ねて、静かに海へ帰りました。
結婚式の日、娘の指には指輪が光っていました。ギンタは言いました。 「優しさはの、海を一周して戻ってくるもんなんだ」
港の人々は今でも、赤い鯉を見ると手を合わせるそうです。