雲の上には洗濯屋があります。店主のフワリさんは、人々の「気持ちの重い服」を洗います。悲しみで濡れたコート、心配でくしゃくしゃのシャツ。雲の水で洗うと、服は軽く、ふわりと乾くのです。
ある日、若い介護士の女性が、白衣を抱えてやって来ました。 「この白衣、最近なんだか重くて……。仕事中、大事な場面で涙が出そうになるんです」 フワリさんは白衣を受け取って、雲の水に浸しました。水が少しだけ曇りました。 「優しい人の服は、人の涙を吸うんです。重くなるのは、ちゃんと寄り添ってきた証拠ですよ」
洗い上がった白衣は、雲のように軽くなりました。女性はそれを着て、晴れやかな顔で地上へ戻って行きました。
雲の洗濯屋は今日も、空のどこかで、誰かの重い一日を洗っています。