第43話 雲を食べる巨人

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

山の頂上に、雲を食べる巨人が住んでいました。名前はモク。モクは空の雲をむしゃむしゃ食べて、体の中で雨に変え、畑に困っている村へ、そっと雨を降らせる仕事をしていました。

ところが、ある年、村の若者が言いました。「巨人が雲を食べるから、晴れの日が少ないんだ」。村の人々は山に登って抗議しました。モクは悲しそうに頷いて、雲を食べるのをやめました。

すると、その夏は雨が一滴も降らず、畑は枯れ始めました。若者は山に謝りに登りました。 「ごめんなさい。あなたの仕事を知りもしないで」 モクは大きな目を優しく細めました。 「いいんだよ。雲、食べるね」 モクが雲を食べ始めると、夕方には村に優しい雨が降りました。

若者はそれから、雨の日に言いました。「モクさん、ありがとう」。見えない仕事への感謝が、村に根づいた夏でした。