メガネ屋の主人は、変わり者でした。彼が作るメガネをかけると、人々の周りに色が見えるのです。嬉しい人は黄色、疲れた人は灰色、優しい人は淡い桃色に包まれて見えます。
少年ダイは「厳しくて怖い」と皆が言う担任の先生が気になって、このメガネを買いました。教室でこっそりかけると、先生の周りは、大きな桃色に包まれていました。その色は、怒るときほど濃くなりました。心配する気持ちが強いから、厳しい言葉になるのだと、ダイには分かりました。
放課後、ダイは先生に言いました。 「先生、いつも心配してくれて、ありがとうございます」 先生は驚いて、やがて少し照れたように笑いました。クラスの皆が、その笑顔を初めて見た日でした。
ダイはメガネを返しに行きました。「もう無くても、人の色が少し分かる気がします」。主人は頷きました。「メガネは最初の一歩。本当に見るのは、君の心だよ」。