第46話 絵本の竜の夜歩き

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

絵本の中の小さな竜、リュウは、夜になると本から抜け出します。子どもたちが寝静まった部屋をそっと歩き回って、散らかったおもちゃを片付けたり、倒れた積み木を直したり。朝、部屋が少しだけ整っているのは、リュウの仕業でした。

ある晩、少女ミイが寝たふりをして待っていました。本のページがふわりと開いて、小さな竜が現れました。 「見つかっちゃった」 「いつも、ありがとう。ねえリュウ、本の中は楽しい」 「うん。でも、本の外の世界も悪くないよ。君たちを見守るのが、私の夜の楽しみなんだ」

次の夜から、ミイは枕元に小さなクッキーを置くようになりました。朝になると、クッキーは綺麗になくなって、小さな足跡だけが残っていました。

ミイが大きくなって絵本を卒業するとき、最後のページに、小さな字で書き込みがありました。「いままでありがとう。よい夢を リュウ」。誰が書いたのかは、内緒です。