第47話 雪だるまの置き手紙

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

冬の間、庭に雪だるまを作るのが、老夫婦の楽しみでした。夫が体を、妻が顔を作ります。雪だるまには「ユキオ」と名前もありました。

春が近づき、ユキオが溶け始めた日、妻は言いました。 「また冬に会おうね、ユキオ」 翌朝、ユキオは溶けてなくなっていましたが、いた場所の水たまりの中に、氷の薄い板が残っていました。よく見ると、氷の中に小さな文字が凍っていました。 「今年もありがとう。来年の冬も、ここで待っています」

夫婦はその氷を冷凍庫で大切に保管しました。そして次の冬、新しい雪が積もると、またユキオを作りました。今年のユキオは、なんだか前より上手に作れました。

「ユキオ、おかえり」 雪だるまの目が、ほんの一瞬、光った気がしました。

約束の再会は、冬ごとに繰り返される、この夫婦の大切な行事になりました。