閉園が決まった遊園地で、最後の夜が来ました。管理人のおじいさんは、メリーゴーランドの木馬たちに声をかけました。 「今夜だけは、好きにしておくれ。長い間、ありがとう」
真夜中、電気が落とされたはずのメリーゴーランドが、ゆっくり光り始めました。木馬たちは台を降りて、園内を静かに歩き回りました。観覧車のふもと、噴水の周り、思い出のベンチ。子どもの笑い声が残っている場所を、一つ一つ確かめるように。
白馬の隊長は言いました。 「私たちは、子どもたちの『もう一回』で生きてきた。その思い出は、体が朽ちても残るものさ」
夜明け前、木馬たちは台に戻りました。最後の営業日、回転が始まると、木馬たちはいつもより誇らしく見えたと、来園した人々は語ります。おじいさんは、そっと目頭を拭いました。