おばあちゃんの編むセーターには、不思議な力がありました。着た人が寂しいとき、そっと温かくなるのです。まるで、編み目の一つ一つに、おばあちゃんの「大丈夫」が込められているように。
海外で暮らす孫のミサに、おばあちゃんは青いセーターを送りました。慣れない土地で、言葉も通じず、ミサがホームシックで泣いた夜、セーターがほんのり温かくなりました。ミサは驚いて、セーターを抱きしめました。 「おばあちゃん……近くにいるみたい」
電話でその話を聞いたおばあちゃんは、笑って言いました。 「毛糸はね、遠くまで届くんだよ。編むときに、ミサのことを思いながら編んだからね。その思いが、糸に残るのさ」
おばあちゃんの編み物は、今も家族みんなに届いています。温もりは、距離を越えるのです。