カレンダーの妖精、ニチカの仕事は、年に一度だけ「ないはずの日」を作ることです。2月の終わり、暦のどこにも載っていない一日。その日は、世界中がそっと止まっているような、静かな休日です。
その日を見つけられるのは、本当に疲れている人だけ。不思議なことに、目覚めた朝、「今日は、暦にない日だ」と分かるのです。
過労気味の青年のタクは、その朝を迎えました。スマホの日付は昨日と同じ。街は静かで、時間はゆっくり流れていました。タクは決めました。何もしない一日を過ごそう、と。公園で寝転び、雲を数え、本を読み、夕方には母に電話しました。
翌朝、カレンダーは普通に戻っていました。でもタクの体は、不思議と軽かったのです。
ニチカはカレンダーの隅で微笑みました。「休息の日はね、見つけた人のもの。来年も、疲れた誰かのために作っておくね」。