森のもみの木、モミジロウの夢は、クリスマスツリーになることでした。でも森の奥の木が選ばれることは、滅多にありません。
「今年こそは」と願うモミジロウの言葉を聞いたのは、森のキツツキでした。キツツキは村まで飛んで、事情を話しました。その村に、今年、妻を亡くして独りになった老人がいました。クリスマスの飾りをする気力もない老人です。
村の人々は相談して、老人の小さな庭に、モミジロウを植え替えることにしました。イブの夜、老人と村の子どもたちが、木に手作りの飾りを付けました。老人の目に、久しぶりの明かりが灯りました。 「ありがとう。こんなに温かいクリスマスは、久しぶりじゃ」
モミジロウは枝をそっと揺らしました。夢が叶う形は、思っていたものと少し違いましたが、それでよかったのです。