第59話 猫の夜の会議

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

町の猫たちは、真夜中に神社の石段で会議を開きます。議題は、町の小さな幸せの配分です。「明日、あの家の植木鉢が咲くように」「あの子の落とし物が見つかるように」。猫たちは、人の運の糸を少しだけ整える力を持っているのです。

新入りの子猫、チビスケは初めての会議で発言しました。 「あの、おばあさんが、最近元気がありません。おばあさんの家の、朝の光を少し増やせませんか」 年長の猫たちは目を細めました。 「よかろう。明日の朝日は、あの家の窓に長めに当たるようにしよう」

翌朝、おばあさんの家には、いつもより長く朝日が差しました。おばあさんは窓辺でお茶を飲み、気持ちよさそうに目を閉じました。

猫の会議は、今夜も開かれます。町の幸せは、誰にも気づかれないまま、猫たちに守られているのです。