第61話 給食室の小さな妖精

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

小学校の給食室には、小さな妖精が住んでいます。名前はスープン。調理員さんたちにも見えないほど小さいのですが、仕事は大切です。誰かが緊張している日、発表で震えそうな子のスープに「勇気」をひとつまみ、入れるのです。

転校生のユウタは、給食が不安でした。食べるのが遅くて、皆に迷惑をかける気がして。その日のスープは、なぜかほんのり甘くて、体が温かくなりました。隣の席の子が言いました。 「ユウタくん、ゆっくりでいいんだよ。給食は競争じゃないから」 ユウタは頷いて、初めて全部食べられました。

その晩、スープンは給食室の窓辺で満足そうに頷きました。勇気の味は、優しい言葉と一緒に届くとき、一番効くのです。