第76話 線路の花畑

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

廃線になった線路沿いに、花畑が続いています。植えたのは、元運転士のサブロウさん。引退後も毎朝、線路沿いを歩いて花の世話をしています。

「列車はもう走らないけど、花が咲けば、線路はまだ生きている気がしてね」

春は菜の花、夏は向日葵、秋はコスモス。線路は季節の色に染まります。村の子どもたちは、その線路沿いを「花の線路」と呼んで、遠足の場所にしました。

ある春の日、サブロウさんのもとに、昔の同僚から手紙が届きました。「君の花の線路の写真が、新聞に載っていた。列車を愛した者の、第二の運転だね」。サブロウさんは目を細めました。

列車は止まっても、線路の物語は続きます。花と一緒に、次の季節へ。