村の神社の鈴は、不思議な鈴でした。誰もいないのに、時々、優しく鳴るのです。村の言い伝えでは、村の誰かが助けを必要とするとき、鈴が知らせて鳴るそうです。
雪の晩、鈴が鳴りました。神主の老人は村を見回りました。外れの家で、独り暮らしのお婆さんが転んで動けなくなっていました。早く見つかって、お婆さんは助かりました。
「鈴が鳴らなかったら、朝まで気づかなかった」 村の人々は、それから鈴の音にもっと耳を澄ますようになりました。鈴が鳴るたび、誰かが誰かの家を訪ねます。
神社の鈴は、今夜も静かにぶら下がっています。村の見守りは、神様と、鈴と、人々の足音でできているのです。