第81話 山小屋の明かり

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

山小屋の管理人、トウジさんは四十年間、毎晩ランプを灯し続けています。登山者が道に迷わないように。小屋は尾根の上にあり、その明かりは谷からも見えるのです。

嵐の夜、父と息子が山で道を失いました。雪の中、息子は怖くて泣きました。そのとき、遠くに小さな明かりが見えました。 「お父さん、あそこに明かりがある」 二人はその明かりを目指して歩き、山小屋にたどり着きました。トウジさんは二人を温かい飲み物で迎えました。 「よく来たね。この明かりは、迷った人のためにあるんだ」

翌朝、晴れた山を下りながら、父親は言いました。「明かり一つで、人は生き延びられるんだな」。息子は頷きました。大人になった息子は、今、自分の家の玄関に、毎晩明かりを灯す習慣を持っています。誰かのための、小さな明かりを。