かたつむりのデンデは、郵便配達員です。ただし、とても遅い。一通の手紙を届けるのに、三年かかることもあります。それでも、デンデに手紙を頼む人は後を絶ちません。なぜなら、デンデの届ける手紙は、いつも「一番いいとき」に届くからです。
少女が喧嘩した友だちに謝罪の手紙を託しました。デンデは三年かけて届けました。その頃、二人は別の学校に進んでいましたが、手紙を読んだ友だちは微笑んで、電話をかけました。「今だから言えるけど、私も謝りたかったの」。
老人が、若い頃の自分宛てに手紙を書いたこともありました。「夢を諦めるな」という手紙。それが届いたのは、老人が新しい趣味を始めた、ちょうど迷いのある日でした。 「三年前の自分に、励まされるとはな」
デンデは今日も、ゆっくり進みます。手紙の届くべき日を目指して。