畑の案山子、カカシの仕事はカラスを追い払うこと。でも、カカシは優しくて、一羽のカラスと友だちになってしまいました。カラスのカーコは、畑の隅の実だけをついばむ約束で、毎日カカシの肩に止まって、畑の向こうの話を聞かせます。
秋、収穫が終わりました。農夫はカカシに言いました。 「今年は実りがよかった。お前の見張りのおかげだ」 カカシは心の中で思いました。半分は、カーコとの約束のおかげです。畑を荒らさない代わりに、こぼれた実は分け合う。それが、この畑の平和でした。
冬、カカシは倉庫に仕舞われます。カーコは春まで、倉庫の屋根で待つことにしました。 「春に、また会おう」 「ああ。来年も、この畑で」
畑の平和は、追い払う力ではなく、分け合う約束で守られていたのです。