風の強い日、洗濯物が飛ばされました。おばあちゃんの白いシーツです。シーツは風に乗って、町の上を旅しました。学校の校庭、川の橋、駅のホーム。町の景色を、空からゆっくり眺めました。
シーツはやがて、丘の木に引っかかりました。見つけた子どもたちが、持ち主を探して届けてくれました。おばあちゃんはシーツを受け取って言いました。 「このシーツ、今日はいい旅をしてきた顔をしているね」
実は、おばあちゃんは足が悪く、最近は外に出られません。でも洗濯物を干すたびに思うのです。洗濯物たちは、私の代わりに町の空を旅してくれる、と。
次の洗濯の日、おばあちゃんはシーツに言いました。 「今日は、どこまで行っておいで。話を聞かせておくれ」
風が吹いて、シーツは嬉しそうに膨らみました。