小川のほとりに住む蜘蛛のハリは、糸紡ぎの名人でした。ある夏の日、川向こうへ渡りたいアリの行列が、増水した川の前で困っているのを見ました。ハリは一晩かけて、川に細い糸の橋を架けました。朝、アリたちはその橋を渡って、無事に向こう岸へ着きました。
それから、ハリの橋は小さな生き物たちの通り道になりました。テントウムシ、子カエル、迷子の蝶。橋を渡るたび、皆は礼を言いました。 「ハリさん、ありがとう」 「糸は細いけど、皆の役に立てる。それが私の誇りさ」
秋の終わり、ハリは年老いて、橋も少しずつ弱くなりました。すると、今度はアリたちが、橋のたもとに小さな花を供え、代わりの若い蜘蛛に橋守の仕事を引き継ぎました。
優しさの橋は、架ける者が代わっても、渡る者を守り続けます。