第95話 冬至の灯り行列

やさしい不思議の本 著者:しおりさと

一年で一番夜の長い冬至の晩、山村では灯りの行列をします。村民が提灯を持って丘まで歩き、「これから昼が長くなりますように」と、夜の神様に光を返しに行く行事です。

今年、行列の先頭を任されたのは、村に引っ越してきたばかりの家族でした。最初は緊張していた子どもも、提灯の明かりの中で、村の人々の輪の温かさを感じました。丘の上では、全員の提灯が集まって、大きな光の輪になりました。 「暗い夜も、皆で歩けば怖くないね」 村長は言いました。「冬至は、暗さの底。ここからは光が戻ってくる。そのことを、体で覚える行事なんだ」

帰り道、子どもの提灯は、行きより明るく感じました。村の一員になれた気がしたからです。